「実家を相続したけれど、遠方に住んでいて草木の手入れまで手が回らない…」
「久しぶりに実家を見に行ったら、隣のフェンスに草が絡んでいた…」
「自治体から『適正管理してください』という通知が来てしまった…」
空き家の管理、特に草木の繁茂(しげり)は、気が付けば近隣トラブルの火種になっていることがあります。
今回は、そんな草木の問題にどう対応すればよいか、行政書士の視点からご説明します。
1 空き家の草木は放置厳禁!苦情が来たらすぐに対応を
まず結論です。空き家の庭木や雑草を放置すると、近隣住民との関係が悪化するだけでなく、場合によっては行政から「勧告」や「命令」が出ることもあります。
草が伸びるのは自然なことですが、「誰も手入れをしていない状態」が続くと、地域全体の景観悪化、害虫発生、火災リスクなどにもつながります。
放置はリスク。ではどうすればよいか?見ていきましょう。
2 「空き家の適正管理」とは何か?
空き家の管理には「所有者等による適正な管理」が求められます。これは「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家特措法)」という法律で定められています。
その中で、「倒壊や衛生・景観の悪化、火災の恐れがある空き家」は「特定空家(とくていあきや)」に認定されることがあり、行政から改善の「指導」「勧告」「命令」が出される場合があります。
特に草木の繁茂は、「景観の悪化」「害虫の発生」「通行支障」といった点で問題視されやすい要素です。
3 どんな状態だとアウト?具体的な目安
では、どんな状態だと問題になるのでしょうか?
自治体によって判断基準は異なりますが、例えば
・敷地外(道路や隣地)にはみ出している
・ツタや枝が隣家に接触している
・害虫の発生や野生動物が住み着く
などが目安とされます。
また、近所からの苦情や通報がきっかけで、市区町村の職員が現地調査に来るケースもあります。
4 実家を放置していたら…突然の通知が!
例えば、次のような事例を考えてみましょう。
鹿児島県内に住む60代男性。亡くなった母親の家を相続したものの、県外にマイホームがあり、実家には年に1回帰る程度でした。
ある年、近隣住民から「草木が道路にはみ出して通行に支障がある」と通報が入り、市役所から「適正管理のお願い」という通知が届きました。
慌てて草刈業者に依頼したものの、夏場の繁茂が激しく、年1回では追い付かないと判明。
結果的に、造園業者等と年間管理契約を結び、ようやく落ち着いたとのことでした。
5 すぐにできる対処と、今後の対策
【短期的な対応】
・業者に草刈り、伐採を依頼する(2万円/回~5万円/回が相場)
・近所に一言お詫びと説明を(手紙でもOK)
・自治体からの通知があれば、すぐに連絡を入れる。
【中期的な対応】
・年2~3回の定期管理契約(草刈り、清掃)を結ぶ
・管理代行サービスを利用(行政書士が紹介するケースも)
・最終的には「売却」「賃貸」「解体」など、活用を検討する。
6 行政書士ができること
「近隣対応や行政とのやり取りに困っている」「地元に知り合いがいなくて、信頼できる業者が分らない」そんなとき、行政書士がサポートできることがあります。
行政書士は、以下のような実務的支援を行っています。
・自治体との文書対応(通知への回答文や改善計画書の作成)
・草刈りや剪定を行う造園業者や管理会社との契約代理
・空き家の定期管理についての相談対応
・近隣住民との連絡、調整に関する助言や文書作成
空き家の適正管理は、単なる草刈りでは済まされないこともあります。「法的な立場を整理したうえで動きたい」と感じたら、行政書士にご相談ください。
7 放っておくほど、面倒になるのが空き家管理
「まだ大丈夫」と思って放置していると、草木は思った以上に早く伸びます。
そして、ひとたび苦情が来ると、その後の近所付き合いや行政対応に、時間もお金もかかります。
実家の管理に悩んだら、まずは一歩「何から始めればいいか」を、行政書士に相談してみてください。
大切なご実家を、地域に迷惑をかけずに守るために。今からできる対策を、一緒に考えましょう。
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