「実家を相続したけど、住む予定もないし、そのままでもいいか…」
「親の家の名義変更って面倒そう。まだ何もしていない…」
こうした声を、最近よく耳にすることがあります。
とくに県外に住んでいたり、すでにマイホームを持っている方にとって、空き家となった実家の管理は悩ましい問題ですよね。
今回は、「相続登記をしないまま放置している実家がある」という方に向けて、登記を先延ばしにすると、どんなリスクがあるのか?を、解説していきます。
1 相続登記を放置すると、あとで困るのは「あなた」です
最初に結論です。
実家の相続登記を、しないまま放置していると「売れない、貸せない、手続きができない」という状況に陥ります。
さらに、令和6年(2024年)4月からは相続登記が義務化。
怠れば「過料」の対象になることもあります。
では、そもそも「相続登記」って何なのでしょう?
2 相続登記とは「名義の書き換え」
相続登記(そうぞくとうき)とは、亡くなった方の名義になっている不動産(土地や家)を、相続人の名義に書き換える手続きのことです。
例えば、父親が所有していた実家を相続した場合、あなたの名義に登記し直すことが「相続登記」です。
3 相続登記は2024年4月から「義務」に
これまでは、相続登記は「任意」、つまりやってもやらなくても自由でした。
ですが、令和6年(2024年)4月からは、「相続の開始(=亡くなったこと)を知った日から3年以内」に相続登記を申請しなければならなくなりました。
これを怠ると、「10万円以下の過料(かりょう)」という罰則が科される可能性があります。
過料とは行政罰の一種で、簡単にいえば「反則金」のようなものです。
4 実家の名義が父親のままでは、何も進まない
ここで、ある事例を考えてみます。
・鹿児島県内にある一軒家
・10年ほど前に父親が亡くなり、相続人である長男は関東で生活
・実家は空き家になり、手を付けずにそのまま10年が経過…
・ある日、雑草が伸び放題となり、近隣から苦情が寄せられる。
・長男は売却を検討するが、名義が父親のままであることから売ることができない。
・「まずは相続登記を」と言われ、慌てて手続きを始めるも、他の相続人と連絡がつかず、書類が集まったのは半年後
このように、相続登記を先延ばしにするといざという時に「すぐに動けない」というリスクがあるのです。
5 空き家特例や補助金も使えない!?
相続登記をしていない状態では、例えば「空き家の解体補助金」「売却時の税金優遇(空き家特例)」といった制度が、利用できないといったことにもなりかねません。
また、不動産の名義が父親のままでは、相続人であるあなた自身が「所有者」としての権限を持たないため、銀行や自治体との手続きにも支障が出てきます。
6 今できる準備と行政書士のサポート
とはいえ、相続登記は書類も多く、「自分でやるのはちょっと…」という声が多いのも事実。
そこで、行政書士ができるサポートをご紹介します。
・相続関係説明図(家系図のようなもの)の作成
・必要書類の収集サポート(戸籍、住民票など)
・遺産分割協議書の作成
・登記前の準備整理や相続人間の調整
実際の登記申請は司法書士が行いますが、その準備段階からの手続きを、行政書士が丁寧にサポートします。
7 「まだ大丈夫」は一番キケン
空き家となった実家を「今は使っていないから放置」で済ませてしまうと、後々、大きな負担やトラブルになって戻ってきます。
相続登記の義務化をきっかけに、まずは「名義の確認」から始めてみませんか?
実家の管理も、ご自身の相続対策も、「今」が一番初めやすいタイミングです。
分からないことがあれば、行政書士に気軽にご相談ください。
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