「宅建業免許って、誰でも取れるの?」
 「建設業の免許はあるけど、土地を分譲するには別の許可が必要なの?」
 「書類が多くて不安…。スムーズに進めたいけど、どこから手をつければ?」

 このようなご相談を、これから不動産業を始めたい方や、すでに土地開発を手掛けている建設業の方からよくいただきます。

 実は、宅建業免許の取得には、事前に確認すべきポイントが複数あります。

 このブログでは、「スムーズに宅建業免許を取得するためのチェックリスト」として、具体的に確認すべきことを整理しました。

 「無駄なく、確実に」免許を取りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

1 自社の取引が「宅建業」に当たるかを確認しよう

 まず最初に確認すべきことは、「自社の事業が、宅建業に該当するかどうか」です。
 宅建業とは、ざっくり言えば「不動産の売買や賃貸を、他人のために、繰り返し行って、報酬を得る仕事」です。

内容免許の要否解説
自社で保有する土地を一括売却不要自己物件の売却に限れば宅建業ではない
分譲地を複数区画に分けて販売必要反復継続して販売すれば宅建業
他人の不動産を仲介・代理して手数料を得る必要「媒介」「代理」に該当
知人の紹介で土地を1回だけ仲介ケースによる「反復性」があるかで判断される

 特に建設会社で「造成した土地を一般に販売したい」という場合は、宅建業の免許が必要になります。
 無免許で行えば、刑事罰の対象になるため、最初の確認が極めて重要です。

2 免許の種類は「都道府県」か「国」か?

 宅建業免許には、2種類あります。 

区分要件申請先
都道府県知事免許営業所が1つの都道府県内のみ各都道府県の担当課
国土交通大臣免許複数都道府県に営業所がある国土交通省地方整備局

 例えば本社が大阪にあり、東京にも支店を出す場合は「大臣免許」が必要です。
 一方で、大阪だけで営業するなら「大阪府知事免許」でOKです。

3 事務所の要件は満たしているか?

 免許申請時には、営業所(主たる事務所)として使用する場所が、実態のある事務所であることが必要です。
 以下の要件に注意しましょう

要件内容
独立性他の事業や居住スペースと明確に区分されているか
継続性恒常的に宅建業を営む体制があるか
権原使用権限(賃貸契約など)を有しているか
看板・表示社名・宅建業者表示などがあるか

 「自宅の一角で営業する」「レンタルオフィスを使う」といったケースは、不可とされることも多く、事前確認が必要です。

4 専任の宅地建物取引士は確保しているか?

 宅建業者には、各営業所に1人以上の専任の宅地建物取引士(宅建士)を設置する義務があります。
 「専任」とは、以下の基準を満たす必要があります。

要件内容
宅建士資格有効な宅建士登録をしていること
専任性他の会社と兼業していないこと
常勤性実際にその営業所に常勤していること

 取引士がいない、登録が失効している、副業している――このような状態では、免許申請が通りません。

5 人的要件(役員、代表者など)は問題ないか?

 免許を取得するには、申請者(個人や法人の役員など)が「欠格事由に該当していないこと」が条件です。
 以下のようなケースでは免許が下りません。

欠格事由の例内容
過去5年以内に宅建業法違反で処分無免許営業や名義貸しで処分を受けた
禁固以上の刑に処された執行猶予中でも不可
成年被後見人・被保佐人判断能力に制限があると判断される
破産して免責を受けていない個人・法人問わず適用される

 申請前に、法人の役員、支店長、営業所長などを念入りに確認しましょう。

6 必要書類は事前に準備できるか?

 宅建業免許の申請には、多数の書類が必要です。

書類補足
免許申請書主たる事務所の所在地、代表者情報など
法人の登記簿謄本発行から3ヶ月以内
事務所使用権限の証明書賃貸借契約書など
宅建士登録証の写し専任の取引士分
役員の略歴書・誓約書欠格事由確認用
身分証明書・登記されていないことの証明書役員全員分が必要

 役員が多い会社や、支店を複数持つ企業では、準備に1か月以上かかることもあります。早めに段取りを。

7 取得後の「やるべきこと」も把握しておこう

 宅建業免許を取得しても、以下のような法定義務が発生します。

項目内容
免許証の掲示営業所ごとに免許証を掲示
業者票・報酬額表の設置一般消費者が見える場所に設置
帳簿の作成・保存取引ごとに帳簿をつけ、保存義務あり
更新申請(5年ごと)更新忘れ=無免許営業となる

 宅建士の定期講習や、従業員へのコンプライアンス教育も重要です。

8 まずは「要件を満たせるか」の棚卸を!

 宅建業免許の取得は、単なる「書類手続き」ではなく、人的・物的体制の整備が前提となります。
 以下のチェックリストを参考に、自社の状況を一度棚卸してみましょう。

項目確認ポイント
① 宅建業に該当するか分譲販売・仲介などに該当しないか?
② 免許の種類都道府県知事か?国土交通大臣か?
③ 事務所の整備独立性・使用権限・表示などOK?
④ 宅建士の確保専任・常勤の資格者はいるか?
⑤ 欠格事由の有無役員等に違反歴・破産歴がないか?
⑥ 書類の準備漏れなく用意できているか?
⑦ 取得後の義務掲示・帳簿・更新の管理体制はあるか?

9 不安があれば専門家へ相談を

 「自社の場合どうなるのか不安…」という方は、行政書士などの専門家に早めに相談するのが安心です。

 宅建業免許は、不動産ビジネスの「第一歩」。
 しっかり準備して、スムーズなスタートを切りましょう!

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行政書士下西照美事務所