「長年飲食店で働いてきたし、腕には自信がある。小さく始めて、許可は後からでもいいんじゃない?」
 「キッチンカーって手軽に始められそう。細かい手続きは売り上げが出てからでいいよね?」

 このように思っている方、意外と多いのではないでしょうか。

 でもちょっと待ってください。
 営業許可を取らずに営業を始めると、法律違反になり、思わぬトラブルや罰則を受けることがあります。

 今回は、無許可営業のリスクについて、分かりやすく解説していきます。

1 無許可営業ってどういうこと?

 まず、「営業許可」とは何かをしっかり理解しましょう。
①営業許可とは?
 国や自治体が定めた一定の基準を満たした事業者に対して、営業を認める制度です。
 とくに飲食業や移動販売(キッチンカーなど)は、「食品衛生法」という法律のもと、保健所の営業許可が必要になります。

②なぜ許可が必要なのか?
 食品を扱う事業は、衛生面の管理が命。
 お客様に安全な食事を提供するために、「調理設備」「水の管理」「清掃・消毒」などの基準が設けられており、これを満たしていなければ営業できません。

③営業許可が必要な例(飲食業の場合)

形態許可の要否備考
実店舗での飲食店必要店舗ごとに許可が必要
キッチンカーでの販売必要移動販売でも保健所の許可が必要
テイクアウト専門店必要店内飲食がなくても同様
自宅でのケーキ販売(通販含む)原則必要製造場所が営業許可を取っていることが条件

2 無許可で営業したらどうなる?

 法律違反になると処罰されることも

①法律違反になる根拠
 営業許可を取らずに営業をすると、「食品衛生法第55条違反」となります。
 これは無許可営業に該当し、次のような処罰があります。

②実際の罰則は?(食品衛生法第82条)

内容罰則例
無許可で営業した場合2年以下の懲役または200万円以下の罰金(またはその両方)
悪質な場合(再三の指導無視など)保健所から営業停止命令、刑事告発もあり

 さらに、食品事故(食中毒など)が起きた場合は、民事責任も発生します。
 被害者から損害賠償を請求されることもあります。

3 どんなケースが危ないの?

①キッチンカーを買ってそのまま営業
 実は、キッチンカーでの営業には「営業許可」と「営業者としても構造基準」が必要です。
 水タンクの容量、シンクの数、換気の仕組みなど細かな基準があります。
 →保健所に届出をして、車両を見てもらった上で許可を取らなければいけません。

②SNSで販売する「お菓子の通販」
 手作りケーキやクッキーをSNSで注文販売しているケース
 自宅のキッチンで作って売っている場合、たとえ知人相手でも「営業」に該当する可能性があります。
 →調理場所が営業許可を取得していない場合、無許可営業に。

③友人のバーを借りて間借り営業
 間借り営業の場合も、「営業主体」が変わるため、自分名義での営業許可が必要になります。
 貸主が許可を持っていいても、それだけでは足りません。

4 許可を取らずに営業した人の末路

 「最初は注意だけで済んだ」という人もいます。
 でも、その後も改善しないと、次のような段階を踏んで厳しくなっていきます。

①保健所からの指導、是正勧告
②営業停止命令
③刑事告発、罰則
④損害賠償(事故が発生した場合)

 行政は一度でも違反歴があると、その後の申請にも厳しくなります。
 一度の無許可営業が、今後の夢を閉ざすこともあるのです。

5 どうすればリスクを避けられる?

①最初にすべきは相談
 保健所や行政書士など、専門家に事前に相談することで、自分の事業形態に合った許可が分かります。
 「キッチンカーで何を売るのか?」「どこで調理するのか?」などを整理してから相談しましょう。

②必要な許可は一つではない場合も
 例:キッチンカーでお弁当を売る場合
   →「飲食店営業許可」+「総菜製造許可」が必要になることもあります。

③行政書士に依頼するメリット
・手続きの代行や書類の作成を任せられる
・必要な許可を総合的に判断してもらえる
・不備があるときも対応策を提案してくれる

6 「知らなかった」では済まされない

 営業許可を取らずに始めてしまうと、最悪の場合、営業停止や罰則のリスクがあります。
 とくに、キッチンカーや自宅販売など、手軽に始められるように見えても、法律の壁は意外と高いものです。

 最初にしっかり準備をして、堂々と営業を始めましょう。
 夢を形にする第一歩は、「安全」と「信用」からです。

 行政書士は、あなたの夢のスタートを全力でサポートします。
 気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。

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行政書士下西照美事務所