「実家を相続したけれど、使う予定もないし遠方で管理も難しい…」
「水道や電気はそのままでいいのか、止めた方がいいのか…よく分からない」
そんな疑問をお持ちではありませんか?
空き家の管理において、意外と悩むのが「ライフラインをどうするか」という問題です。
今回は、空き家の電気・水道契約をどう扱うべきかについて、行政書士の視点から分かりやすく解説します。
1 電気・水道は「目的に応じて」契約判断を
まず結論からお伝えします。
空き家における電気・水道の契約は、「今後その家をどう使うか」によって決めるべきです。
・定期的に出入りして掃除や草刈りをするなら、契約継続が便利。
・今後の活用予定がなく、完全に空き家として放置する場合は、停止・解約を検討。
・売却や解体を考えている場合も、一時的な利用のため残すケースあり。
「使わない=止める」ではなく、「管理のしやすさ」や「再利用の可能性」も踏まえて判断しましょう。
2 電気・水道の「停止」と「解約」はどう違う?
ここで用語の確認です。
・停止:引っ越し等で電気の供給を止める状態。長期不在での一時停止は受付されない。再開時の手続きは簡単。
・解約:契約そのものを終了。再び使うには、新規契約や開栓・開通工事が必要。
多くの自治体や電力会社では、「空き家だから解約」というより、「しばらく使わないから一時停止」が現実的に選択肢になります。
3 契約を続けるかの判断ポイント
電気・水道の契約を続けるか判断する際は、次のような観点が役立ちます。
①今後の活用予定はあるか?
・リフォームして貸す or 売る予定 → 契約を続けた方が良い場合あり
・何年も使う予定がない → 止める、または解約も検討
②管理に通う頻度はどれくらいか?
・年に数回でも訪問・掃除をする → 電気・水道があった方が便利
・一切通わない、委託もない → 無駄な基本料金が発生する可能性
③空き家の立地と気候条件
・湿気が多く、換気・除湿が必要 → 電気契約で除湿器等が使える
・凍結の恐れがある地域 → 水抜きや給湯器の対応が必要(電気・水道とも注意)
4 管理のつもりが、思わぬ出費に…
【ケース①:契約を続けてよかった】
東京都在住の女性が、鹿児島の実家を相続。
年3回帰省し、草刈りや掃除をしていたが、電気が使えたおかけで掃除機・除湿器が使用可能。
電気代は月1,000円前後で、利便性を考えると継続して正解だったと実感。
【ケース②:無駄な基本料金がかさんだ】
一方、同じように相続したが全く通えず、5年間契約を続けていたケース。
毎月の基本料金(電気・水道で計2,000円前後)が積み重なり、総額12万円に。
結局、管理は業者に任せていたため「もっと早く止めておけば」と後悔。
5 契約見直しの手順と注意点
①電気の停止、解約手続き
・契約している電力会社へ連絡(Web、電話)
・使用停止日を伝えるだけで完了することも多い
・長期使用停止の場合は、基本料金が半額になることも
②水道の使用停止手続き
・市町村の水道局へ連絡
・長期使用停止の場合は、止水栓の閉栓を依頼
③再開時の注意
・電力会社、水道局へ連絡
・「電気供給設備」や「止水栓」を撤去してある場合、開通工事が伴い費用が発生する場合あり
(↑特殊な事例。通常はそこまですることは稀)
6 行政書士ができること
「水道局とのやりとりが難しい」
「遠方のため業者との調整ができない」
そうした場合、行政書士がサポートできることがあります。
・各種届出の代理提出
・空き家管理の方針に応じたアドバイス
・管理業者、専門業者との契約書作成
・売却や利活用に向けた書類整理(相続登記など)
空き家の管理はライフラインでなく、相続・契約・将来の処分計画まで関係してきます。
「法的にも整えておきたい」と思ったら、行政書士に相談してみてください。
7 電気・水道の契約は「状況に応じて見直しを」
空き家の電気・水道契約は、「使っていないから止める」と単純に決められるものではありません。
「管理のしやすさ」や「将来の活用」も考慮したうえで判断するのが大切です。
定期的に訪れる予定があるなら残す、放置が続くなら停止や解約も検討。
迷ったときは、状況を整理したうえで行政書士に相談してみましょう。
専門家と一緒に、空き家の管理計画を立ててみてはいかがでしょうか。
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