「親の土地を相続したけど、名義変更ってどうやるの?」
 「兄弟が多くて話し合いが大変そう。書類の準備だけでも先にしたい」
 「遺言がない場合、どんな書類が必要なのか見当がつかない…」
 こうしたお悩みをお持ちではないでしょうか。

 2024年4月から「相続登記の義務化」がスタートし、相続した不動産の名義変更は避けては通れない手続きになりました。

 でも、実際に何をどう用意すればいいのか、わからない方がほとんどです。

 この記事では、相続登記に必要な書類を、行政書士の視点からやさしく整理してお伝えします。
 「これさえ読めば、やるべき準備が見えてくる」内容になっています。

1 必要な書類は、大きく分けて3つのカテゴリーに分かれます

 相続登記に必要な書類は、多く分けると次の3つです。
① 亡くなった方(被相続人)に関する書類
② 相続人に関する書類
③ 遺産分割の内容を証明する書類

 この3つをそろえることで、法務局への登記申請が可能になります。
 それぞれ、具体的に見ていきましょう。

① 亡くなった方(被相続人)に関する書類
 まずは、亡くなった方が誰なのか、そして本当に亡くなったのかを証明する必要があります。
 ここで必要になるのは、以下の書類です。

 ・戸除籍謄本(出生から死亡まで)
 → 被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて集めます。
   親の相続であれば、最低でも3~5通の戸籍が必要なことが多いです。

 ・住民票の除票または戸籍の附票(死亡時点の住所を確認するため)
 → 不動産の所在地と一致しているかを確認する資料にもなります。

【例】父親が2022年に亡くなった場合:
・出生から結婚、転籍、死亡するまでの戸籍を集める(改正原戸籍含む)
・住民票の除票を1通取得
※戸籍が全国に分散していることもあるため、時間と手間がかかる部分です。

② 相続人に関する書類
 次に、「誰が相続人か」を証明するための書類が必要です。
 ここで重要なのは、相続人全員が確認できる戸籍と、本人確認書類です。

 ・相続人全員の現在の戸籍謄本(または抄本)
 → 相続権があることを証明します。

 ・相続人全員の住民票
 → 実際の居住地や氏名の確認に使用されます。

 ・相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議が必要な場合)
 → 協議書への実印押印を証明するために使います。

【例】母親と3人の子どもが相続人の場合:
・母親と子3人の戸籍謄本を取得
・母親と子3人の住民票+印鑑証明書(各1通)
※印鑑証明書は、3か月以内の発行が必要になることが多いため、申請時に合わせて用意するのがベストです。

③ 遺産分割の内容を証明する書類
 遺言がない場合、だれがどの不動産を相続するかを明確にする必要があります。
 これには「遺産分割協議書」が必要です。

 ・遺産分割協議書(相続人全員の署名、実印)
 → 誰がどの財産を取得するかを記載します。

 ・不動産の固定資産評価証明書(課税証明書)
 → 登録免許税の計算や、不動産の評価額を確認するために使用します。
   各市区町村役場で取得できます。

【例】
・「長男が土地を相続する」内容の協議書を作成し、全員の実印と印鑑証明書を添付
・土地のある市役所で、固定資産評価証明書を取得(原則1月1日時点のもの)

2 遺言がある場合は手続きが変わります

 もしも被相続人が遺言書を残していた場合は、手続きが少し変わります。

 ・自筆証書遺言の場合:
 → 家庭裁判所の検認手続きが必要です。

 ・公正証書遺言の場合:
 → 検認不要。登記申請にもそのまま使用可能です。

 遺言があるかどうかは、家族だけでなく法務局の「遺言書保管制度」も確認対象です。
 近年は、この制度を利用する方も増えています。

3 必要書類を知って、早めに行動を

 ここまで紹介したとおり、相続登記に必要な書類は多く、準備にも時間がかかります。
 特に戸籍の収集や遺産分割協議書の作成は、慣れていないと大きな負担になります。

 さらに2024年からは、相続登記が義務化され、
 相続があったことを知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料(罰金)が科される可能性もあります。

 「何から始めたらいいか分からない」
 「兄弟との連絡が取りづらい」
 そんな方は、ぜひ行政書士にご相談ください。

 私たち行政書士は、
・戸籍の収集
・相続関係説明図の作成
・遺産分割協議書の作成
 など、相続登記の準備全体をサポートできます。

 あなたとご家族が、将来安心して相続に向き合えるよう、今のうちに準備を始めてみませんか?

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行政書士下西照美事務所