「実家を相続したけれど、遠方に住んでいて管理まで手が回らない…」
「自治体から『適正に管理してください』という手紙が届いたけど、何をすれば?」
そんなお悩み、意外と多いんです。
空き家の放置は、景観や治安、防災面で地域に影響を与えるため、行政も見過ごせません。
今回は、通知が届いたときにどうのように対応すればいいのか、行政書士の視点から説明します。
1 通知が来たら「放置せず、まず確認と連絡」が鉄則です
まず一番大事なことは、「通知を放置しないこと」です。
そのまま無視してしまうと、後々「勧告」や「命令」、最悪の場合は「行政代執行(行政による強制処理と費用の請求)」につながる可能性もあります。
届いた通知の内容をしっかり読み、まずは自治体の担当課に連絡しましょう。
「何が問題とされているのか」「どのような対応を求められているのか」を確認することが第一歩です。
2 「適正管理」とは?空家特措法の基準とは
そもそも「適正管理してください」とは、どんな意味なのでしょうか?
これは「空き家等対策の推進に関する特別措置法(略称:空き家特措法)」に基づくもので、所有者に対して「倒壊の恐れがないようにする」「周辺環境を悪化させないようにする」といった管理責任を求めるものです。
とくに、以下のような状態は「特定空家」とみなされ、法的措置の対象になります。
・建物の一部が崩れていたり傾いている
・ごみが放置され悪臭、害虫が発生している
・草木が伸び放題で通行に支障が出ている
・外観が著しく荒れていて景観を損ねている
通知は「これ以上放置すると『特定空家』に認定される可能性がありますよ」という、いわば「警告の一歩手前」です。
3 どういうケースで通知が来るの?実際の目安
実際に通知が届くケースとして多いのは、以下のような状況です。
・敷地の草木が道路にはみ出して通行人に迷惑をかけている
・害虫やネズミが発生して、近隣から苦情が来た
・家屋の一部が壊れていて、倒壊の危険があると判断された
・長年放置されている様子で、近所から「不審者が出入りしている」と通報があった
どの程度で「適正管理がされていない」と判断されるかは自治体によって異なりますが、共通しているのは「近隣への影響がある」と認められた場合に、通知が出されやすいということです。
4 通知が来たらどう動く?やるべきこと
【まずやるべきこと】
・自治体に連絡し、現状を確認する(電話がベスト)
・どのような点が問題とされているか、を丁寧にヒアリング
・必要に応じて、写真を送ってもらうor自分で現地を確認する
【その上でやること】
・草刈りや清掃を業者に依頼(1回あたり2~5万円が目安)
・今後の再発防止のため、定期管理(年2~3回)を検討
・管理が困難なら、売却や賃貸など、活用の方向で動く
業者探しが難しい場合は、地元の行政書士などに相談すると、地域の信頼できる事業者を紹介してくれることもあります。
5 適正管理の実務サポートを行います
「通知の返答文をどう書いたらいいか分からない」
「地元に知り合いがいなくて、草刈り業者をどう探したら…」
そんなときこそ、行政書士の出番です。
【行政書士ができる実務的支援の例】
・自治体とのやり取り(通知への回答文、改善計画書の作成)
・草刈りや剪定業者との契約書作成、契約代行
・空き家の定期管理に関する相談、助言
・将来的な利活用(売却、賃貸)の手続き相談
「管理ができないから」とあきらめず、まずは一緒にできることを考えていきましょう。
6 通知はチャンス。早めの対応がトラブル防止のカギ
通知が届くとドキッとしますが、これは「今ならまだ対応できますよ」というサインでもあります。
放置し続ければ、勧告→命令→強制執行と、どんどん深刻化します。
しかし、早めに動けば、近隣との関係も良好に保ちつつ、空き家の価値を守ることもできます。
「何から始めればいいか分からない」そんなときは、行政書士に相談してみてください。
遠方からでも対策、一緒に見つけていきましょう。
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