最近、「空き家を民泊にして活用したい」
「相続した実家がそのままになっている」
「商店街に人の流れを作りたい」
そんな声をよく耳にします。
民泊という選択肢は、こうした問題に光を当てる有効な方法の一つです。
ただ、その第一歩でつまずいてしまう方も多いんです。
理由ははっきりしています。
「手続きがややこしそう」
「どんな書類が必要か分からない」
「そもそも何から始めていいのか見当がつかない」
といった声が非常に多いんですね。
この記事では、民泊許可を取るときに必要な書類について、行政書士の立場から説明します。
これを読めば、何を用意して、どう進めていけばいいのか道筋が見えてくるはずです。
1 民泊許可とは?ざっくり言うと「届け出制」のルール
まず基本の確認です。民泊は「旅館業」ではなく、住宅を使った短期宿泊のことを指します。
これを法律では「住宅宿泊事業」と呼び、いわゆる「民泊新法(住宅宿泊事業法)」というルールで運用されています。
この制度の特徴は、営業を始める前に「許可」ではなく「届出」をすることが必要だという点です。
ただし、実際には「許可並み」のハードルがあり、提出する書類も多岐にわたります。
2 必要な書類は、ざっと10~15種類!
要点からお伝えします。
民泊の届出に必要な書類は、おおよそ以下のとおりです。
自治体によって多少の違いがありますが、共通して求められるのはこの辺りです。
・住宅宿泊事業の届出書(これがメインの申請書)
・使用する建物の登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)
・間取り図(建物の部屋や設備が分る図面)
・位置図(地図上でどこになるかを示す)
・消防法令適合通知書(消防署の確認が必要)
・契約書(賃貸の場合は、オーナーとの契約内容を明記)
・誓約書(届出者が欠格事項に該当しないことを誓約)
・住民票や身分証の写し(申請者の情報)
・管理業務を委託する場合は、その契約書や委任状
これだけの書類を、自力で集め、正しく書類を整えるのは、正直かなり大変です。
3 書類のどこが難しいのか?
まず「図面」と「法令に関する書類」が大きな壁になります。
例えば、建物の図面を揃えるだけでも、設計事務所や工務店に頼まないと手に入らないことがあります。
特に築年数が古い建物の場合、図面が紛失していたり、実際の間取と合っていなかったりするケースが多いです。
また、消防法令の適合通知書は、申請前に消防署の立ち入り検査を受ける必要があります。
火災報知器や避難経路の設置など、要件を満たしていなければ改修が必要になります。
これは場合によっては数十万円の出費になることも。
さらに、民泊は「年間180日以内」の営業日数制限があります。
これを超えると旅館業の許可が必要になってきます。
つまり、収益の計画もこのルールを前提に考える必要があります。
4 書類準備にかかる期間と費用の目安は?
書類の準備にかかる期間は、スムーズに進めば1か月前後。
ただし、建物の調査や消防との調整に時間がかかると、2か月以上かかることも珍しくありません。
費用は、建物の状況によって大きく変わりますが、目安としてはこんな感じです。
・図面や証明書の取得:1万円~3万円
・消防設備の改修費:10円~30万円
・行政書士への書類作成、提出代行:10万円~20万円程度(内容により変動)
つまり、初期費用としては少なくとも10万円~50万円程度の準備が必要になります。
5 自分でやる?専門家に頼む?
もちろん、書類はご自身でそろえることも可能です。
ただ、民泊の届け出は「書類の正確さ」と「行政とのやり取り」が重要なポイントです。
特に地方では、自治体によって求められる書類や対応が微妙に異なります。
行政書士に依頼することで、そうした地域ごとの細かいルールにも対応できるのが強みです。
また、途中で書類に不備が見つかると、最初からやり直し…というケースも少なくありません。
せっかくの計画が遅れたり、キャンセルせざるを得なくなったりする前に、プロに任せるという選択肢もご検討ください。
6 空き家活用の第一歩としての民泊
相続した実家が放置されている。
管理費だけが毎年かかっている。そんな状態のままではもったいないですよね。
一方で、人口減少が進む地域では、「人が来る理由」が求められています。
商店街であっても、民泊があれば宿泊をきっかけに地域にお金が落ち、再び人の流れが生まれる可能性があります。
民泊は「空き家対策」と「地域活性化」の両方に寄与する手段です。
ですが、それを現実にするには、しっかりとした準備と、正確な申請が欠かせません。
もしご不安な点があれば、行政書士として書類作成や手続きのご支援が可能です。
お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
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