「法人化したいけど、必要な書類って何があるの?自分で用意できるのかな?」
 最近こうした相談が増えています。

 個人事業として長年やってきた方が、税金対策や融資、補助金申請のしやすさを理由に、法人化を検討するタイミングが増えてきました。

 でも、初めて会社設立となると「何から始めればいいのか」「書類って自分で作れるのか」が不安ですよね。

 今回は、会社設立に必要な書類の一覧と、その作り方・注意点を解説していきます。
 ご自身で準備できるもの、行政書士に頼んだ方がスムーズなものも含め、全体像をつかんでいきましょう。

1 会社に必要な書類は全部でこれだけ!

 まずは全体像から見てきましょう。
 株式会社を設立する場合に必要な主な書類は、以下のとおりです。

NO書類名内容誰が作る?
1定款(ていかん)会社の基本ルールを定めた文書自分 or 行政書士 or 公証人
2発起人の決定書役員や本店所在地の決定書類自分で作成可
3設立時取締役の就任承諾書役員が引き受けることを証明自分で作成可
4印鑑届出書(印鑑カード交付申請書)法人印の登録申請書類自分で作成可(法務局提出)
5資本金払込証明書銀行への資本金入金を証明する書類自分で作成可
6登記申請書法務局への設立申請書自分で作成可(要形式注意)
7印鑑証明書(発起人分)発起人の本人確認書類役所で取得(原本)
8登録免許税の納付用紙登録免許税(通常15万円)の支払いに使う法務局で提出

 これらの書類を揃えて、会社の本店所在地を管轄する法務局に提出することで、設立完了となります。

2 定款って何?紙と電子で何が違うの?

 会社設立の中心的な書類が「定款(ていかん)」です。
 定款とは、「会社のルールブック」。会社名、目的、所在地、資本金、役員構成など、会社の骨格となる内容がすべてここに書かれます。

 株式会社を設立する場合、定款を公証人役場で認証してもらう必要があります。
 認証手数料は、5万円前後が一般的です。

 定款を紙で作成した場合と、電子定款で作成した場合では、次の違いがあります。

項目紙の定款電子定款
収入印紙4万円0円
定款認証費用3万円~5万円3万円~5万円
登録免許税15万円15万円
合計24万円20万円

 つまり、電子定款の方が4万円おトクなんですね。
 ただし、電子定款を自力で作成するには、専用ソフトや電子証明書が必要です。慣れていない方は行政書士に依頼した方が安心です。

3 資本金払込証明書の準備方法

 設立前に資本金を決めて、発起人の個人口座に入金しておく必要があります。
 この際に作るのが「資本金の払込証明書」です。

 準備は意外と簡単で、次の手順です。
①発起人(例:あなた)の個人口座に、資本金を入金
②通帳の「表紙」「入金記録部分」をコピー
③上記コピーに「払込証明書」を添付して提出

 つまり、資本金の払込記録を通帳コピーで示すことで証明します。
 特別な証明書を、銀行で発行してもらう必要はありません。

4 書類作成は自分でできる?専門家に頼んだ方がいい?

 結論から言うと、時間と根気があれば、自分で全部そろえることも可能です。
 ただし、以下のような場面では専門家に依頼するメリットがあります。
・定款の内容に自信がない
・電子定款を使って印紙代を節約したい
・補助金、融資を視野に入れた設立をしたい
・登記書類の書式に不安がある

 行政書士や司法書士に依頼した場合、報酬相場は5~10万円程度。
 印紙代や時間コストを考えると、結果的に費用対効果が良い場合もあります。

5 一つ一つは難しくないが、順序と形式が大切

 会社設立に必要な書類は多いように見えますが、一つ一つはシンプルです。
 ただし、書式や順序にミスがあると、登記が却下されることもあります。
 「どこでつまずきやすいか」「補助金、融資を見据えてどの法人形態がベストか」など、トータルで見てアドバイスが欲しいときは、行政書士のサポートを検討してみてください。

 法人設立は、あなたの事業にとって次のステージへの第一歩です。
 スムーズなスタートのために、正しい情報と段取りを意識していきましょう。

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行政書士下西照美事務所