メルカリやラクマといったフリマアプリの普及により、誰でも手軽に中古品を売買できる時代になりました。
 副業やお小遣い稼ぎとして利用する人も増えていますが、「これって古物営業許可が必要なの?」と疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。
 実は、販売の目的や頻度によっては、許可が必要になるケースもあるのです。今回は、フリマアプリでの中古品販売と古物営業許可の関係について解説します。

1 古物営業許可が必要になる「条件」とは

 古物営業許可が必要になるのは、「古物(=中古品等)を仕入れて、販売する行為を反復継続して行う」場合です。
 要するに、以下のような取引が該当します。
・販売目的で中古品を仕入れる
・継続的に利益を得るために販売を行っている
・営利目的での販売

 特に「仕入れて販売」している場合には、個人・副業問わず許可が必要になります。

2 不要なケース:不用品処分との違い

 以下のような場合は、古物営業許可は原則不要です。
・自宅にある不用品を一時的に処分する(例:着なくなった服や使わなくなった家電を出品する)
・贈り物などを自分で使わず手放す
・引っ越しや断捨離のための一時的な出品

 ポイントは、「利益目的で仕入れたものではない」という点です。

3 必要なケース:仕入れて販売する行為とは?

 一方、以下のような取引は古物営業許可が必要となるケースです。
・フリマアプリで人気の商品を安く仕入れ、別のプラットフォームで高く売る
・リサイクルショップやネットオークションなどから中古品を購入し、転売する
・仕入れ先を確保して、商品をストックして継続的に販売

 このような「事業性があるとみなされる行為」は、たとえ個人であっても許可が必要です。

4 無許可営業のリスクは?

 古物営業許可を取らずに営業行為を続けた場合、次の「①無許可営業」の罰則が適用される可能性があります。

区分罰則違反行為
①無許可営業3年以下の懲役または100万円以下の罰金古物商の許可を受けずに営業を行うこと
②名義貸し3年以下の懲役または100万円以下の罰金自分の名義を他人に貸して古物営業を行わせること
③営業制限違反1年以下の懲役または50万円以下の罰金古物商が営業を行う際の制限に違反すること
④帳簿等の記載義務違反6月以下の懲役または30万円以下の罰金帳簿の記載や保存に関する義務を怠ること
⑤虚偽の申請3年以下の懲役または100万円以下の罰金許可申請書に虚偽の記載をすること
⑥認可証の携帯義務違反10万円以下の罰金古物営業許可証を携帯しないこと

 また、フリマアプリ運営会社からアカウント停止や取引制限を受けることも想定しておく必要があります。
 「知らなかった」では済まされないのが法律です。

5 「副業だから大丈夫」は通用する?

 「本業ではないから」「月に数万円の収入しかないから」と安心している方もいますが、副業かどうかは許可の要否には関係ありません。
 審査されるのは「行為の内容」であり、「反復継続性があるか」「営利性があるか」が判断の軸となります。
 副業であっても、仕入れて販売をしていれば、れっきとして古物営業に該当するのです。

6 まとめ

 フリマアプリは便利なツールですが、ビジネスとして活用する場合には法的な準備が欠かせません。
 「これは許可が必要な取引かどうか」「どこまでが趣味や処分の範囲か」判断が難しいこともあります。
 古物営業許可の取得を考えている方や、申請に不安がある方は、お気軽にご相談ください。

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行政書士下西照美事務所