「親から畑を相続したけど、農業はやらない」
「家を建てたいけど、土地が『市街化調整区域』って書いてあってよく分からない」
「売りたいけど、不動産屋に『この土地は転用が難しい』と言われた…」
そんな声をよく聞きます。
農地を活用しようとしたとき、立ちはだかるのが「農地転用」と「都市計画法」の壁。
特にやっかいなのが「市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき)」にある農地です。
今回は、「市街化調整区域にある農地を転用するには、どんな点に注意すべきか?」を、できるだけ分かりやすく解説していきます。
1 市街化調整区域とは?
まず、「市街化調整区域って何?」というところから。
これは、簡単に言うと「原則として建物を建てちゃダメですよ、というエリア」です。
なぜかというと、都市がムダに広がりすぎないように、計画的に街づくりをするためです。
日本の都市計画では、土地を大きく次の2つに分けています。
・市街化区域(しがいかくいき):すでに街として整備されていて、家や店がどんどん建てられるエリア
・市街化調整区域(しがいかちょうせいくいき):原則として、家や施設を新しく建ててはいけないエリア
つまり、市街化調整区域の農地を「農業以外に使いたい」と思ったら、いくつものハードルがあるということです。
2 なぜ転用が難しいのか?
農地を農地以外に使うには、「農地法(のうちほう)」というルールに従って、まず「農地転用の許可」が必要です。
でも、市街化調整区域の農地を転用する場合は、それだけじゃ終わりません。
もう一つ、「都市計画法(としけいかくほう)」という別のルールにも従わなければいけないんです。
つまり、「農地法」と「都市計画法」、両方クリアしないとダメ。
この二つの法律が、まるでダブルロックのように農地を守っているイメージですね。
3 許可されるケースと、難しいケースの違い
では、どんなときに農地転用が認められるのか?
実は、市街化調整区域での転用は、例外的に認められるケースしかありません。
その代表的に例をいくつか紹介します。
【公益施設の建設】…都市計画法34①一
例えば、保育園や消防施設、法人ホームなど、地域に必要な公共性のある施設。
この場合は、行政の判断で例外的に認められることがあります。
【開発許可制度による開発】…都市計画法34①十
特定のエリアで自治体が方針を立て、「このエリアだけは住宅開発を認めます」といった開発計画がある場合。
【分家住宅(ぶんけじゅうたく)】…都市計画法第34①十二
例えば、農家の長男が結婚して親の近くに家を建てる場合など。
これは「地元の農家が農地の上に住まいを建てる必要がある」として、条件を満たせば許可されることがあります。
このようなケースでは、建物を建てられることもあります。
つまり、市街化調整区域の農地を「個人が自由に宅地に変える」ことは、原則できない。
例外的に認められる仕組みがあるだけで、すべての人にチャンスがあるわけではないのです。
4 自分の農地がどうなのか、まずは「確認」が第一歩
市街化調整区域の農地を転用したいと思ったら、まず最初にやるべきなのは「自分の農地の位置や用途地域の確認」です。
自治体の都市計画課や農業委員会に行くと、「この土地は市街化調整区域です」「ここは転用できません」など、ある程度教えてもらえます。
インターネットで「都市計画図」を公開している自治体もあります。
でも、正確な判断は難しいので、できれば専門家に一度相談することをおすすめします。
5 無断転用は絶対NG!思わぬトラブルになることも
「草が生え放題で見苦しいから、駐車場にしちゃおう」
「農機具置き場にコンテナを置くだけだから大丈夫だよね?」
こんな軽い気持ちで農地を使ってしまう人もいますが、これば違法な転用になってしまう可能性があります。
もし許可なく転用してしまうと、
・原状回復(もとに戻せ)
・罰金
・行政指導、監視対象になる
といったペナルティを受けることもあります。
とくに市街化調整区域の場合、「違反=目立つ」ため、近隣住民や役所の目も厳しくなります。
6 専門家に相談することで、道が開けることもある
「調整区域だから無理だろう」とあきらめてしまう方も多いですが、実は条件次第では可能なこともあります。
また、「農地として売る」「第三者に貸す」「相続税対策で活用する」など、農地の活用方法は転用だけではありません。
行政書士は、そうした複雑な農地の取り扱いや、制度の判断に精通しています。
市の担当窓口や農業委員会とも連携しながら、申請の代行や必要書類の作成も行えます。
まずは、「自分の農地がどういう状況か」「何が可能なのか」を知ることが大切。
お気軽にご相談ください。
7 市街化調整区域の農地は、使い方に要注意!
・市街化調整区域は、原則として家や建物を建てられないエリア
・農地を別の用途に変えるには、「農地法」と「都市計画法」の両方をクリアする必要あり
・例外的に認められるケースはあるが、条件は厳しい
・勝手に転用すると違法になるリスクも
・まずは農地の位置や都市計画の内容を確認し、専門家に相談を
相続や離農で手に入れた農地。
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