「元請けから『そろそろ建設業許可を取ってください』と言われたけど、何をすればいいかわからない…」
「銀行から『許可がないと融資は難しい』って言われたけど、どうすれば…?」
「父の会社を継ぐ予定だけど、許可って何が必要なの?」
そんな不安や疑問を感じている方へ。
今回は、「建設業許可を取るための条件(=要件)」について、わかりやすくお伝えします。
まず結論から言うと、許可を取るには「人、お金、信用」がカギになります。
それぞれの条件を満たしているか、書類でしっかり証明することが求められます。
1 そもそも建設業許可って必要?
まず「建設業許可が必要になる場面」から整理しておきましょう。
建設業許可は、「元請けから仕事をもらうため」「融資や補助金を受けるため」「会社の信用を上げるため」に、今や必須ともいえる存在です。
実は法律上も、税込500万円以上の工事(建築一式工事なら1,500万円以上かつ150㎡以上)を請け負う場合、原則として許可が必要です。
つまり、会社の規模を広げていくなら、いずれは必ず向き合うことになる制度なんですね。
2 要件①:経営業務の管理責任者がいること
まず1つ目の要件が、「経営業務の管理責任者(けいえいぎょうむのかんりせきにんしゃ)」。
これは、建設業の経営に5年以上携わった人が必要ということです。
「前職で社長をしていた」「法人の取締役で工事の契約にかかわっていた」「個人事業主として工事を請負っていた」などの経験がカウントされます。
最近では、経営経験が5年以上+建設業の役員経験が通算2年以上といった緩和措置もあります。
令和2年の法改正で少し要件が柔らかくなったので、以前よりは該当する人が見つけやすくなりました。
3 要件②:営業所技術者がいること
次に必要なのが「営業所技術者(えいぎょうしょぎじゅつしゃ)」です。
これは、その業種の工事を管理できるだけの資格や経験を持っている人のことです。
営業所技術者には、次のような人が該当します。
該当する人 | 具体例 |
---|---|
国家資格を持っている人 | 2級施工管理技士、建築士 など |
実務経験が10年以上ある人 | 配管工、塗装工などとして長年働いてきた方 |
学歴+実務経験の組み合わせ | 大卒+3年、高卒+5年 など |
ここは最もつまずきやすいポイントでもあります。
例えば、「大工を15年やってきたけど資格はない」という方でも、実務証明が取れれば要件を満たせます。
4 要件③:500万円以上の財産的基礎
許可を取るには、ある程度の「資金力」も必要です。
具体的には、自己資本が500万円以上あることが求められます。
例えば次のようなもので証明します。
・預金通帳の写し(直近残高500万円以上)
・税務申告書の写し(純資産500万円以上)
・金融機関の残高証明書 など
「まだ新設法人で資本金も少ない…」という方でも、代表者個人の口座で証明できる場合もあります。
この点も、実際の状況を確認して柔軟に対応する必要があります。
5 要件④:過去にトラブルを起こしていないこと
建設業許可では、「社会的信用」も大切です。
具体的には、次のような人が関係者にいないことが求められます。
・暴力団関係者
・禁固刑などの重い刑罰を受けた人(5年以内)
・不正な契約で営業停止になった会社 など
これらに該当すると「欠格要件」に触れ、許可が取れなくなります。
ただし、多くの方はここでは問題ありません。心配な方はご相談ください。
6 要件⑤:適正な営業所があること
申請には「営業所(事務所)」が必要です。
自宅兼事務所でもOKですが、最低限以下のような条件を満たす必要があります。
・看板がある(事務所名や建設業の表記)
・固定電話がある(携帯電話だけではNG)
・書類を保管できる場所がある
最近では、レンタルオフィスやバーチャルオフィスはNGになる場合が多いので注意が必要です。
7 誰がどの要件を満たすかがポイント
これまで紹介した5つの要件は、「1人で全部満たさなくてもOK」です。
例えば、
・経営者Aさんが「経営業務管理責任者」
・技術者Bさんが「営業所技術者」
・資金は法人+個人の合算
といった分担もできます。
大事なのは、「誰が、どの条件を満たすのか」を書類できちんと証明できることです。
8 一人で悩まず、まずはチェックから
建設業許可を取得するには、
①経営経験
②技術力(資格や経験)
③財産的な体力
④社会的な信用
⑤営業所の体制
この5つがそろっていることが条件です。
「難しそう…」と思われたかもしれませんが、一つひとつ分けて考えれば、意外とクリアできる方も多いです。
「うちは該当するのか?」というのは、書類を見ないと判断できないこともあります。
行政書士として、あなたの状況を丁寧にヒアリングし、何が足りないのか・どう捕えるのかを一緒に考えます。
将来の事業拡大、元請けとの信頼関係の構築、融資のスムーズな獲得のためにも、許可取得は大きな一歩です。
まずはお気軽にご相談ください。
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