古物営業許可を取得すれば、全国どこでも営業できるとは思っていませんか?

 実は、古物営業許可は国が発行する免許ではなく、「営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会ごとに許可する」仕組みです。

 そのため、営業所を移転する場合や、他県へ引っ越す際には一定の手続きが必要になります。

 今回は、古物営業許可の適用範囲や引っ越し時の対応について詳しく解説します。

1 引っ越し・移転の際に必要な手続きとは?

 営業所を他の都道府県に移転する場合は、基本的に次の手続きが必要です。
 ・現在の古物営業許可を廃止(届出)
 ・新たな営業所所在地を管轄する公安員会へ新規申請

 つまり、引っ越しに伴い営業所が他県に移る場合は、許可を取り直す必要があります。

2 営業所の所在地が変わる場合の流れ

 【例:鹿児島県から福岡県へ引っ越す場合】
 1 引っ越し前に、現在の公安委員会へ「廃止届出書」を提出
 2 引っ越し後、福岡県公安委員会へ「新規申請書」を提出
 3 必要書類を添付し、許可が下りるのを待つ(通常1か月前後)
 4 許可証を受け取り、新たな営業を開始

 ※引っ越しにより、「営業の空白期間」が発生しないよう、事前準備が重要です。

3 移転先で営業を継続するには?

 「すぐに営業を再開したい!」という場合には、古物営業の停止期間ができないように、引っ越し前後で計画的に手続きをすることが大切です。

 また、警察署ごとに必要な添付書類や記載方法が微妙に異なることもあるため、新しい営業所の管轄署に事前確認を取るのが安心です。

4 他県で営業所を追加する場合は?

 営業所を移転するのではなく、「現在の営業所はそのままに、別の県でも営業を始めたい」という場合には、
 ・移転先の都道府県公安委員会に「新規の古物営業許可申請」を行う必要があります。

 この場合は、「新たな営業所がある都道府県」にも公安委員会の許可が必要となるため、単純に「一つの許可で全国どこでも営業できる」わけではない点に注意が必要です。

5 違反するとどうなる?無許可営業のリスク

 引っ越した後に許可を取り直さずに営業を続けた場合、無許可営業とみなされ
「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」
 といった罰則の対象になるおそれがあります。

 たとえ「許可を持っていた」としても、所在地が変わった後に新たな申請をしなければ違法になります。

6 行政書士からのアドバイスとまとめ

 古物営業許可の取り扱いは、所在地が変わると複雑になります。

 許可の再取得や届出など、タイミングを誤ると営業停止や違反になるリスクがあるため、慎重な対応が必要です。

 「引っ越す予定がある」「複数の拠点で営業したい」といった場合は、事前に行政書士に相談することでスムーズな手続きが可能になります。

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行政書士下西照美事務所