これから不動産業を始めようと思っている方、またはすでに宅地の売買や仲介に関わっている建設会社の方の中には、
「宅建業免許って本当に必要なの?」
「うちは開発メインだから、免許は後でいいかな…」
「紹介料をもらっただけで、営業って言えるの?」
こんな疑問を持つ方もいるかもしれません。
ですが、宅建業免許を持たずに営業を行った場合、重大な罰則や社会的信用の喪失につながるリスクがあることをご存じでしょうか?
この記事では、「宅建業免許なしで営業するとどうなるのか」を、法律や具体例を交えて分かりやすく解説します。
1 無免許営業は「刑事罰の対象」!最悪、懲役刑や罰金も!
まず最初にお伝えしておきたいのは、「宅建業免許がないまま取引を行うことは『法律違反』」であるということです。
・宅建業免許なしで営業すると、3年以下の懲役または300万円以下の罰金
・法人の場合は1億円以下の罰金
・実際に行政処分や起訴された例も多数あり
・「知らなかった」では済まされない
では、「どこからが営業になるのか?」「罰則はどれくらい重いのか?」を順に解説していきます。
2 宅建業ってどんな業務?どこまでが「免許が必要」なの?
宅建業とは、「宅地や建物の売買、交換、貸借の仲介(代理や媒介)を反復継続して業として行うこと」を言います。
つまり、お金をもらって、何度も継続して不動産取引にかかわる仕事は、すべて宅建業です。
(この定義は、宅地建物取引業第2条に明記されています)
「1回だけなら大丈夫?」と思われがちですが、次のようなケースも「業として」と判断されることがあります。
・他人の不動産を何度も紹介し、謝礼を受け取る
・建設工事の名目で、土地の売買の交渉を代行する
・不動産会社の名前を借りて営業している
・自社で宅地造成を行い、売主として販売している(土地開発業者)
つまり、「たまたま1回のつもりが、実際は2件目、3件目に…」となれば、免許がないまま宅建業を営んでいるとみなされる可能性があるのです。
3 無免許営業の罰則とは?想像以上に重たいペナルティ
無免許営業がばれた場合、次のような処分が科されます。
区分 | 刑罰 | 法令 |
---|---|---|
個人の場合 | 3年以下の懲役、300万円以下の罰金、またはその両方 | 宅建業法第79条 |
法人の場合 | 1億円以下の罰金 | 宅建業法第84条 |
これに加えて、行政庁からの文書による警告や是正指導(行政指導)が行われることもあります。
さらに、悪質な場合には新聞報道や業界への周知も行われるため、企業イメージに大きな傷がつくことも。
4 宅地造成をしていた会社が無免許販売で処分
・とある土木建設会社が、開発許可を得て造成した宅地を、自社で個人向けに直接販売した
・相続で取得した山林を宅地開発し、土地所有者自身が「建設業の延長だから宅建業免許は不要」と判断して分譲販売した
→ これらのケースは、複数区画を反復継続して売却していたため、宅建業に該当すると判断
宅建業免許を持たないまま販売したため、県から行政指導と刑事告発を受けました。
当事者は「建設業の延長だと思っていた」と釈明しましたが、免れませんでした。
知らなかったでは済まされない世界なのです。
宅地建物取引業法違反の態様別検挙状況(警視庁)
5 実は多い「グレーゾーン」。この行為、実はアウトかも?
こんなケースは要注意!
行為内容 | 宅建業にあたる? | 免許が必要? |
---|---|---|
自社で造成した土地を販売 | ○ | 要 |
工事受注のために土地情報を仲介 | ○ | 要 |
一度だけ知人の土地を紹介(謝礼あり) | △ | 原則必要 |
宅建業者の名義で実質自社営業 | ○ | 違法(名義貸し) |
自社所有地を貸し出す | × | 不要(自己所有貸付はOK) |
グレーゾーンに見える行為も、実態として「営業性」があれば免許が必要です。
名義貸し(他社名義で営業する)も法律違反で、罰則の対象です。
6 知らずに違反しないために。今すぐできる3つの対策
①自社の業務を見直す
「今やっている業務が宅建業に該当するか」見直してみましょう。
営業、総務、現場担当にヒアリングするのも効果的です。
②必要ならすぐ免許申請を
営業実績が少なくても、繰り返す意思や形跡があれば免許が必要です。
宅建業免許の取得には、1~1.5か月かかるため、思い立ったら早めの準備を。
③行政書士に相談する
「免許が必要なのかよくわからない」「準備が面倒そう」という場合は、専門の行政書士に相談すれば、無料診断や書類チェックも可能です。
7 「知らなかった」では済まない。宅建業免許は必ず免許取得を!
宅建業免許を持たずに不動産取引をすることは、法律違反であり、重い罰則が科される行為です。
・3年以下の懲役、300万円以下の罰金
・法人の場合は、1億円以下の罰金
・信用失墜のリスクも
とくに、建設業者が宅地販売を行うケースでは、無意識のうちに宅建業に該当していることもあります。
今一度、見直してみましょう!
「うちは大丈夫かな?」と思ったら、ぜひご相談ください。
宅建業は、免許があるからこそ信頼される業種です。
正しい手続きを踏んで、安心して営業できる環境を整えましょう!
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