
「任意後見って、結局いくらかかるの?」
「契約するときだけ払えば終わり?」
「毎月お金がかかると聞いて、不安になった…」
こんなご相談をよくいただきます。
任意後見とは、元気なうちに「将来、判断力が落ちたときに手続きを代わりにしてくれる人」を自分で選んでおく制度です。 費用は一度に全部かかるわけではありません。 時期ごとに分けて見ると、全体の金額がつかみやすくなります。
1 費用は「3つの時期」に分かれる
結論です。任意後見の費用は、「契約するとき」「始めるとき」「始まったあと」の3つの時期にかかります。
| 時期 | どこに払う? | 主な費用 | 金額の目安 |
|---|---|---|---|
| ①契約するとき | 公証役場 | 公正証書を作る費用 | 約2万円 |
| ②始めるとき | 家庭裁判所 | 申立ての費用 | 数千円〜(鑑定があれば5万〜10万円) |
| ③始まったあと | 任意後見人・監督人 | 毎月の報酬 | 月0円〜数万円 |
①と②は、どちらも1回だけの費用です。 ③は、契約が続くかぎり毎月かかります。 総額を大きく左右するのは③です。
2 契約するとき:公証役場の費用
公証役場に払う費用は、合わせて2万円ほどです。
任意後見契約は、法律で「公正証書」で作ることが決められています。 公正証書とは、公証人という法律の専門家が作る公的な文書です。
日本公証人連合会が示している費用は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 公正証書の作成手数料 | 1契約 13,000円 |
| 法務局に納める収入印紙代 | 2,600円 |
| 登記をお願いする手数料 | 1,600円 |
| 登記用の書類を送る書留郵便代 | 重さによって変わる |
| 契約書の写し(紙) | 1枚 300円 |
| 契約書の写し(電子データ) | 1通 2,500円 |
登記とは、契約の内容を法務局の記録に載せることです。 写しは紙か電子データかを選べますが、登記に使うため、紙の写しが1通は必要です。
頼む人が2人いると契約も2つになり、費用も増えることです。 ただし、2人で一緒に仕事をする決まりにすれば、1契約として計算されます。
3 始めるとき:家庭裁判所の費用
申立ての費用は数千円ほどです。ただし、鑑定があると5万〜10万円かかります。
任意後見は、契約しただけではまだ始まりません。 本人の判断力が落ちたとき、家庭裁判所に「任意後見監督人」を選んでもらって、はじめて始まります。 任意後見監督人とは、任意後見人の仕事ぶりをチェックする人です。
裁判所が示している費用は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 申立ての手数料 | 収入印紙 800円 |
| 登記の手数料 | 収入印紙 1,400円 |
| 連絡用の郵便切手 | 裁判所ごとに違う |
| 鑑定費用(必要なときだけ) | 5万〜10万円 |
鑑定とは、医師が本人の判断力をくわしく調べることです。 いつも行われるわけではなく、家庭裁判所が必要と判断したときだけ行われます。
ほかに、医師の診断書や、戸籍謄本などの書類を取る費用もかかります。
4 始まったあと:毎月の報酬
毎月かかるのは、任意後見人と任意後見監督人への報酬です。
報酬は2種類あり、決まり方が違います。
| 項目 | 任意後見人への報酬 | 任意後見監督人への報酬 |
|---|---|---|
| 誰が決める? | 本人と任意後見人の契約 | 家庭裁判所 |
| 家族が引き受けた場合 | 0円にもできる | 必ずかかる |
| 専門家が引き受けた場合 | 月2万円ほどから | 必ずかかる |
任意後見人への報酬は、契約で自由に決められます。 家族なら無報酬にすることも少なくありません。 専門家に頼む場合は、月2万円ほどからが一つの目安とされています。
任意後見監督人への報酬は、家庭裁判所が決めます。 大阪家庭裁判所の目安は次のとおりです。
| 管理する財産の額 | 月額の目安 |
|---|---|
| 5,000万円以下 | 1万〜2万円 |
| 5,000万円超 | 2万5,000円〜3万円 |
ここでいう財産の額とは、預貯金や株などの合計です。 どちらの報酬も、本人の財産から支払います。
5 総額をシミュレーション
預貯金3,000万円で10年続くと、総額はおよそ120万〜720万円です。
預貯金3,000万円の方を例に、目安の金額で計算してみます。 鑑定はなかったものとします。
まずは、任意後見が始まった後の毎月の報酬です。
| 毎月の報酬 | 家族に頼む(無報酬) | 専門家に頼む |
|---|---|---|
| 任意後見人へ | 0円 | 3万〜4万円 |
| 任意後見監督人へ | 1万〜2万円 | 1万〜2万円 |
| 月の合計 | 1万〜2万円 | 4万〜6万円 |
この月の合計を12倍すると、1年分になります。契約するときと始めるときの費用もあわせて、全体を見てみましょう。
| 時期 | 家族に頼む(無報酬) | 専門家に頼む |
|---|---|---|
| ① 契約するとき | 約2万円 | 約2万円 |
| ② 始めるとき | 数千円 | 数千円 |
| ③ 1年あたり | 12万〜24万円 | 48万〜72万円 |
| 10年続くと | 約120万〜240万円 | 約480万〜720万円 |
①と②を合わせても、3万円ほどです。 一方、③は10年で数百万円になることもあります。
ただし、③がかかるのは任意後見が始まってからです。 契約しただけで判断力が落ちなければ、③の費用はかかりません。
6 費用を考えるときのポイント
金額だけで決めず、「誰に頼むか」と「財産でまかなえるか」をあわせて考えましょう。
家族に頼めば、毎月の費用はおさえられます。 ただ、家族の手間や負担は大きくなります。
専門家に頼むと費用はかかりますが、財産の管理や報告に慣れています。 子どもがいないご夫婦や、家族が遠くに住んでいる方には心強い選択肢です。
また、報酬は本人の財産から払います。 生活費や介護費とあわせて、10年、20年と続けられるか確認しておくと安心です。
まとめ
任意後見の費用は、3つの時期に分けて考えるとわかりやすくなります。
契約するときは約2万円、始めるときは数千円からです。 始まったあとは、毎月の報酬がかかります。 総額を大きく左右するのは、この毎月の費用です。
「わが家の場合、総額はいくらくらい?」「家族と専門家、どちらに頼むのがいい?」と迷ったら、~お気軽にご相談ください。
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